子供の国語の勉強方法がわからない? 国語力って何なのだろう?
子供の国語の勉強方法がわからなくて?
国語力ってどうやって身につけるの?
子供の国語の勉強は、算数とは異なり、何をどうすればよいのかわからないという児童やご父兄の声をよく聞きます。
算数の文章題が解けないから国語力を伸ばすために本をたくさん読ませようとしたり、市販の学習参考書を買って解かせてみたけれど、身についているのかわからない…
そんな悩みを抱えるご父兄も多いのではないでしょうか?
ストレスや不安になる前に、「国語力とは何だろう?」ということを整理することで、はっきりと見えてくるものがあります。
そもそも国語力とは何だろう?
私たちがついつい口にしてしまう「国語力」ーー
それは結局、どのような力を指すものなのか漠然としていて、なかなか一言で表すことができません。
例えば、以下のようなものが国語力として挙げられます。
・日本語を正しく読める
・日本語を正しく書ける
・国語のテストで高い点数がとれる
・論理的にものごとを考えられる
・抽象的なことを具体的にイメージできる
・コミュニケーション能力がある
例を挙げてみればわかることですが、「国語力」という言葉は単に「日本語を理解できる」という能力だけを指しているわけではありません。
そこにはさまざまな「力」が混じり合っていることが見てとれるのです。
日本語が話せる=国語力がある?
日本で生まれ育った人ならば、家族や周りの人たちさまざまなメディアと触れ合うなかで、自然と日本語を話したり聞いたりする力が身につきます。
誰もが「日本語」を習得しているのに、「国語力が身につかない…」と嘆く人もいるのです。
例えば、語彙や話題も豊富でとても話が上手なのに筋道を立てた文章を書くのが苦手な人もいますし、反対に、学術論文はすらすらと書けるのに話すのが苦手という人もいます。
この2人はそれぞれ広い意味で「国語力」に欠けているのかもしれません。とすると、私たちがイメージする国語力とは読んだり書いたり話したりするだけではなく、もっと総合的な力を指していることがわかります。
国語力のある人とは
私たちは「言葉」でものごとを捉え理解し、そして考えます。さまざまなメディアや人との触れ合いを通して多くのことを学んでいくのです。その中では、本を読んだり人から話を聞くといったインプットだけではなく、相手の感情などを感じ取り、どのようにすれば伝わりやすいかを考えるといったアウトプットする力も成長させなければなりません。
国語力のある人とは、感情的にも論理的にもものごとを捉えられ、それを相手に伝わるように表現できる力が身についていると言えます。
子供の学習のなかでの国語力
子供が勉強につまずいた時に、学校や塾の先生が口にする「国語力が身についていない」という表現は、「問題を正確に捉える力が足りない」とか「算数の文章題が解けない」とかの狭い意味での力を指しています。
これらの解決方法として「もっと本を読ませて下さい」などと言われますが、本当にそうなのでしょうか?
国語の学習のなかで必要な力
国語の学習のなかで、もっとも基礎的な力は「文章から情景や感情をイメージする力」です。
読書の習慣のない子供の多くは、本を読む体験が楽しいものではなく、ただただつまらないものと感じています。これは、例えば物語文のなかの登場人物や情景を鮮やかにイメージできないからです。
お母さんが「本のなかに出てきたこの女の子はどんな顔をしてる?」と聞いても「顔なんてないよ!」とか「わからない」と答える子供たちは、もしかしたら頭の中でイメージとして映像を形づくれていないのかもしれません。
もちろん、子供のなかにはただ面倒くさがって答えないという場合もありますが、もし映像のようにイメージできないのであれば、読書はつまらないものになります。
イメージする力をつけるには本を読めばいいの?
たくさん読書をする経験をすれば、この「イメージする力」も自然と身につき精度も高まります。
ただし、そもそも本を読むことが苦手な子供に、「本を読みなさい!」とうながしても「そんなのつまんない!」となってしまい、一目散にゲームやテレビへと向かってしまう…ということになりがちです。
子供と一緒に読書をしてみましょう
もし、本を読むことを拒否する子供には、「一緒に読んでみよう!」と声をかけることが大切です。お母さんやお父さんと一緒に本を読みながら、ところどころでイメージがきちんと頭の中で形づくられているかを、「ねぇ、この本の中では今はどんな季節?」とか「この男の子は今、どんな表情をしているかな?」と尋ねながら確認しましょう。
もし、感情が上手く読み取れていないとしたら、その子供が同じような体験をしたときにどんな気持ちになるかを聞いてみて下さい。
「仲の良いお友達が遠くに引っ越しをしたとしたら、どんな気持ちになる?」など、子供の身の回りのことに引きつけて質問をすると、よりイメージも湧きやすくなります。
算数の文章題もまずはイメージする力
100円のりんごが2コと60円のみかんが3コをお店で買おうとしました。ところが、さいふのなかにはお金が320円しかなかったので、ぜんぶを買うためにはお金が足りませんでした。さて、お金はいくら足りませんでしたか?
このような算数の文章題を解くためには、まず、情景をイメージすることができるかが大切です。
学校などでは「わからなかったらまず絵を描いてみましょう!」と教えますが、これは子供たちに問題の内容をイメージさせるためです。
もちろん、文章を理解した後は筋道立てて計算をする力も必要になります。とは言え、始めのとっかかりはイメージする力なのです。
さまざまな体験を通してイメージ力は身につく
本を読むことだけではなく、例えば、子供たちと世代の離れた人たちから違う時代の話を聞くだけでも「イメージする力」は身につきます。
もう日本での戦争体験を語ることのできる人たちも少なくなりましたが、そうしたお話のなかに出てくる「当時の人たちが着ていたもの」や「食べていたもの」、どんなものがあってどんなものがなかったかなどを子供がイメージできるようになれば、たとえ本を通さなかったとしても、立派な国語の力をつける体験となるのです。
国語学習の中で何が足りないのかを整理する
子供の国語力が足りない、と不安を抱えているお母さんやお父さんは、まず「何が足りないのか?」をチェックしてみましょう。
国語の力として必要な項目とその順番
以下に、必要な項目とその順番を挙げるのでチェックしてみて下さい。
- 漢字の読み書き
- 語彙力
- 文章をイメージする力
- 筋道を立てて読み取る力
- 論理的に考える力
- 考え、感じたものを記述する力
- 相手の気持ちになって考え、伝える力
ほとんどの場合、1〜4までの力が子供に備わっていれば、焦って本を読ませる必要もありません。
もし、1〜4が苦手と感じるのであれば、少しずつ本に慣れさせてイメージする力を培って下さい。
どのような本を読めばいいの?
本を読む習慣のない子供にやみくもに「本を読め!」とススメてもまず読みません…
大切なのは、本読んで映像としてイメージでできるようになること、一冊の本を読み切るという体験を積ませることになります。
そこでオススメなのが絵本です。
絵本でいいの?
小学校の高学年であったとしても、本を読むことが苦手な子供には『くまのプーさん』や『ピーターラビット』などの絵本が最適です。メリットとして、イメージできるように絵がついていること、読み切るために分量が少ないことがあります。
「絵本なんて…」と思うかもしれませんが、まずはお話があざやかに「見える」という体験を積むことが大切です。
まとめ
「国語力」というのは漠然としててよくわからないもの、というイメージがついてまわります。
ただし、1つ1つ整理をすることで、子供たちにとって「国語」の何がわからないのか? 何が足りないのか? を知ることができます。
勉強の成果の1つとして挙げられるペーパーテストもすべての問題が「言葉」で表されているので、ついつい「国語力が大切」と思ってしまいがちですが、具体的にどのような力が大切なのかをきちんと整理しておくと、その後の対策に役立てられるはずです。
みなさんにとって、国語の勉強が実りのあるものになりますようにーー