個人事業主の弟が所得保障として商工会議所の共済制度を選んだ理由
個人事業主にとって、突然のケガや病気で働けなくなることは収入の減少(または途絶える)につながるため、死活問題です。
健康保険に加入している会社員は、ケガや病気で仕事を休むと、おおよそ給料の2/3に当たる傷病手当金が給付されます。
病気やケガで会社を休んだとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
1週間ほどの休業であれば、会社員の場合、有給休暇をとってしまうことが多いのですが、働けなくなる期間が長期になれば、最長で1年6ヶ月の給付を受けられる傷病手当金は生活の支えとして役に立つものです。
個人事業主は国民健康保険に加入するので、傷病手当金がありません。「個人としてそれぞれ備えて下さいね」というのが国の考え方です。
それでは、休業というリスクにどのように備えればよいのでしょうか?
今回の記事は、個人事業主の弟が選んだ所得補償について、彼の体験談をふまえてご紹介します。
個人事業主の弟が休業を経験して
10年ほど個人事業主として働いている弟が去年、ケガによって6ヶ月間にわたり休業しました。
鎖骨と肩甲骨の骨折。入院+手術で約2週間ほど入院をし、その後は働けるまでリハビリと自宅療養に5ヶ月強の時間がかかりました。
預貯金が減っていく…
休業中は月々の住宅・自動車ローンの支払いや生活費などの出費で預貯金を切り崩す生活になり、「早く仕事に復帰したい」というのが口癖に…
民間の医療保険は入院が基本
弟は退院してからのリハビリに5ヶ月強かかったため、入院や手術の補償がメインの民間の医療保険では収入のカバーがほとんどできませんでした。
もし、民間の医療保険に入っていなかったら、治療費も預貯金から捻出しなければならなかったので、家計はだいぶ助かったと思います。
また同じようなケガをして預貯金を減らさないように、彼は通院や自宅療養でも給付金の出る所得補償の保険を探し始めました。
所得補償には生命保険と損害保険がある
ケガや病気によって働けない状態は大きく分けて2種類あります。
1. 就業不能(または高度障害状態)
2. 休業
就業不能
入院か自宅療養のどちらも含みます。ただし、自宅療養の場合は外出ができない、座っての仕事ができないなど、日常生活に支障の出る状態を指します(それぞれの保険会社によって所定の障害状態は異なります)。
高度障害状態
「両目の機能を完全に失ったもの」など、働くことが困難な状態を指します。
休業
入院や通院だけではなく自宅療養も含めた仕事のできない状態。
弟が選んだのは損害保険
就業不能(または高度障害状態)については給付の対象となる状態が弟の望むものとはかけ離れていました。
また、就業不能保険の場合は、働けなくなってすぐに給付金が出るわけではなく、60日か180日(契約者がどちらかを選ぶ)分は保険金の払われない免責期間があります。
つまり、就業不能が90日間で免責期間が60日だった場合はーー
90ー60=30
30日間分の給付金が出ます。
これだと、収入のカバーになりませんし、そもそも入院状態が続くなら医療保険でカバーできてしまうというのがネックです。
一番の問題だったのは生命保険の場合、2年以内に入院や手術を受けていると健康告知で審査が通らないこともわかっていたので、選択から外すことに。
そのため、損害保険で探すことになりました。
損害保険で探してみても…
損害保険の所得保障でもっとも問題になったのは、収入に応じて補償を設定すると保険料が高くなること。
保険料は経費では落ちないので、ここでまた「どうしよう?」と迷った末に、同じ職種に就いている人によい所得保障がないか手当たり次第に聞いたところ、オススメされたのが商工会議所の共済制度でした。
商工会議所の共済制度とは
日本には500箇所を超える商工会議所があり、公益の経済団体として中小企業や個人事業主にさまざまなサポートを行っています。
そのサポートの1つに個人事業主の福利厚生を充実させるための「共済制度」があります。
共済制度のメリット
商工会議所の会員になることで、団体割引のきくさまざまな保険に入ることができます。
月にして1,000円〜の会費(それぞれの商工会議所によって異なります)を払う必要がありますが、共済制度には2つのメリットが。
1. 保険種類によって大きな団体割引がきくこと
2. 会費は経費に算入できること
弟は商工会議所と提携している複数の損害保険会社から説明を受けて、目的にあった所得補償の保険に入ることができました。
デメリットは?
共済制度を利用する上でのデメリットは2つ。
1. ゆうちょやネットバンクなどの銀行口座から保険料の引き去りができない
(大手銀行や都市銀行、信用金庫などほとんどの口座は使えます)
2. 保険料のクレジット払いができない
弟が選んだ所得保障保険の概要
所得補償タイプはまず1ヶ月にどれくらいの補償が必要かを決めるタイプに加入しました。
補償額 :40万円(1ヶ月)
補償期間:1年間(自動更新)
補償対象:入院+自宅療養(医師の診断が必要)
免責期間:7日
保険料 :3,760円(更新あり)
解約返戻金のない「掛け捨て」の保険です。
とにかく保険料の安さと補償対象の広さが魅力的。
まとめ
個人事業主にとって、「働けない」リスクは健康保険に入っている会社員とくらべて高くなります。
収入の減少は生活そのものを支えられなくなってしまいますし、ケガや病気になって働けないことへの不安は少なくありません。
個人事業主になったら誰しもが「所得補償」に入る必要性はありませんが、自分自身の職種や職務内容を考えて、ぴったりな補償を探すことも、不安を減らすという意味では大切なことです。
所得補償を考えている人へ、少しでも参考になりますようにーー